今回は、安全性の観点から仮想通貨を保管するおすすめウォレットを紹介していきます。
Bitcoinの運用や資産管理を行う時、もしかして「取引所に通貨を預けっぱなし」にしていませんか? 取引所の口座は常にオンラインなので送金や売買を行いやすく、毎日Bitcoin取引にいそしんでいる人には便利ですよね。
しかし、ハッキングや不正行為によって最も狙われやすいのは取引所です。資産が盗まれてしまうと二度と手元に戻ってこない可能性があるので、保管方法は慎重に検討することが求められます。
そこで今回は、ご自身の仮想通貨資産を守るためにできる、「ウォレットの選び方」や「保管方法」、そして最後に投資スタイル別におすすめウォレットを紹介します。当記事を読んで、安全な資産運用を心掛けましょう。
コンテンツ目次
仮想通貨ウォレットのセキュリティ事情
仮想通貨はデジタルデータに基づいて送金や交換を行うことができる利便性があります。しかし、そのセキュリティに対する脆弱性を露見する事件も度々起こっているのです。
たとえば、2018年1月に起きたコインチェック騒動が代表的でしょう。コインチェックは国内を代表する大手取引所でしたが、580億円分のNEM(ネム)が盗まれてしまいます。被害者に対する救援措置は取られたものの、取引所に資産を預けていた方は、「自分のお金が無くなってしまうかも」と、約2ヶ月もの間悩まされることとなりました。
また、たとえ補償額であったとしても、金融庁は所得として課税を決定。つまり、不正行為で被害を受けただけに留まらず、思わぬ税金の支払いを余儀なくされたのです。
コインチェックの事件は取引所の認知度の高さと、被害規模の大きさから話題に昇りましたが、Bitcoinが生まれてから約10年、世界中でハッキングや不正行為の被害例が続出しています。
仮想通貨は「どこに保管しておくか?」が大切
コインチェックの事件など、取引所から資産が盗まれるのは仮想通貨自体に問題があるわけではなく、取引所の管理体制のずさんさや甘さが問題です。
各取引所には個々人の資産を預かる口座が存在しますが、そのセキュリティは取引所側に依存します。つまり、取引所の管理耐性が弱いほど資産が紛失してしまう危険が高まるのです。
仮想通貨の資産を預けておく口座、もしくは保管場所を「ウォレット」と言います。多くの方が取引所が提供するウォレットに資産を預けているのが現状です。その方が、送金や交換がスムーズに行えるので手間がかかりません。
しかし、ハッカーや不正者が取引所を主にターゲットとしている現状を見ると、取引所ウォレットと利用するのは相当リスクが高いと言えるでしょう。
そこで別の選択肢が出てきます。取引所以外のウォレットを使う方法です。
ウォレットには様々な種類があり、「ウォレットの種類」という項目で具体的に説明していきますが、まずはウォレットの安全性を評価するポイントについてご覧ください。
ウォレットの安全性を評価するポイント
ウォレットの安全性を評価する上で大切なことは、「外部との接触時間とリスクは比例する」ということです。
たとえば、ウォレットが常にインターネットに繋がっているとハッキングや不正行為のリスクは高まります。不正行為の大半はオンライン状態で行われているからです。
ウォレットは大きく分けて2種類あり、常にオンライン状態で資産管理する「ホットウォレット」と、オフライン状態でも資産管理できる「コールドウォレット」。ネット環境という外的要因から切り離されたコールドウォレットの方が安全だということがイメージしやすいと思います。
取引所が多くのハッカーから狙われる理由は、多くの資金が眠っていて、しかも常にオンライン状態に接続されている(ホットウォレット)からです。不正行為を働く人からすれば、これほど魅力的な所はないでしょう。
そのため、Bitcoinなどの仮想通貨資産を保管するのはコールドウォレットが基本となります。
ウォレットの種類
ウォレットの種類は先ほど紹介した「ホットウォレット」と「コールドウォレット」の2種類から、さらに細かく分けて4つが存在します。
- オンラインウォレット
- ソフトウェアウォレット
- ハードウェアウォレット
- ペーパーウォレット
オンラインウォレットは取引所ウォレットとも呼ばれ、最もリスクが高いと言われます。ソフトウェアウォレットは別名デスクトップウォレットです。
基本的にオンラインウォレットから下に行くほど安全性は高いとされます。
では、それぞれの特徴について詳しく解説していきましょう。
オンラインウォレット
オンラインウォレットは常にオンライン状態で資産を管理します。取引所で利用できる口座が代表的で、別名取引所ウォレットとも呼ばれます。
オンライン状態を維持しておくと、Bitcoinの送金や交換、売買がスムーズに行えます。しかし、ハッカーや不正者が常にアクセスできるので資産紛失のリスクがつきまとうのです。
ソフトウェアウォレット
ソフトウェアウォレット、別名デスクトップウォレットは、過去の取引データをPCやスマホにインストールして利用します。
ローカル環境(オフライン)でもBitcoinの残高や保有量が確認できるので、ハッキングや不正行為の危険性は低くなります。しかし、ウイルスが浸食して情報が漏えいするなど、PCやソフトのメンテナンスは欠かせません。
ハードウェアウォレット
ハードウェアウォレットは、Bitcoinなどを保管できる専用端末を購入し、その中で資産管理を行います。
インターネット以外にもPCやスマホからも切り離すことで、ハッキングや不正行為、そしてウイルスの脅威からも抜け出せるのです。一方、端末自体を紛失してしまうリスクなどにも注意しましょう。
ペーパーウォレット
ペーパーウォレットは文字通り紙状で資産管理を行う方法です。Bitcoinなど仮想通貨はデジタルデータとなっており、秘密鍵や公開鍵などセキュリティコードによって資産の移動が行われます。
ペーパーウォレットは、そうしたセキュリティ情報を直接紙に書いて残しておく方法です。一般的には最も安全な管理方法と言えますが、紙の劣化やインク落ちには注意しましょう。
Bitcoin(ビットコイン)を安全に保管できるウォレットは?
Bitcoinウォレットにおける安全性とは、「資産を盗まれないこと」や「確実に送受信できること」があります。一方で、いくら安全でも利便性が悪ければ、送金や交換、売買などの行為を阻害してしまうでしょう。
残念ながら、現状では安全性を追求すれば利便性が損なわれ、利便性が高いほど安全性も低いと言わざるを得ません。つまり、安全性と利便性を両立するのは大変難しいことなのです。
そこで、ご自身の投資スタイルに合わせてウォレットを選ぶ方法をおすすめします。
ここでは以下のように投資スタイルを2つに分け、それぞれおすすめのウォレットを紹介していきます。
- Bitcoin取引量の多い人
- 仮想通貨の長期保有を考えている人
Bitcoin取引量の多い人におすすめは「ソフトウェアウォレット」
ソフトウェアウォレットはオフライン状態で資産管理を行いますが、実際に送金や売買などの取引に至る際にオンラインに繋げやすく手間もほとんどかかりません。
Bitcoinの取引量が多い人でも、資産管理と取引を分けて行いやすいメリットがあります。
ウォレット名 | 利用料 | データ移行 | PCに必要な容量 | 日本語対応 | 特徴 |
Bitcoin Core | 無料 | 全取引データ (処理が重い) | 多 | 有 | 高セキュリティ |
Electrum | 無料 | 一部取引データ (処理が軽い) | 少 | 有 (一部無) | データ消去機能、送金手数料変更機能 |
Copay | 無料 | 一部取引データ (処理が軽い) | 少 | 有 | Bitcoin売買可能、対応OS豊富 |
Airbitz | 無料 | 一部取引データ (処理が軽い) | 少 | 有 (一部無) | Bluetooth送受金、ディレクトリ検索、銀行口座連携 |
MyEtherWallet | 無料 | 一部取引データ (処理が軽い) | 少 | 有 (一部無) | イーサリアム用 |
長期保有を考えている人におすすめは「ハードウェアウォレット」
ハードウェアウォレットは、専用USBケーブルでPCと繋ぐなど、スムーズに送金や交換は望めません。しかし、オンラインウォレットやソフトウェアウォレットに比べて高いセキュリティを備えているため、Bitcoinなどを一度買って、しばらく保有しておくという人に向いています。
ウォレット名 | 本体価格 | 対応通貨数 | PINコード漏えい防止 | パスフレーズ設定 | 特徴 |
Trezor | 89 EUR~ | 15種類 | 可 | 可 | ネム(XEM)に唯一対応 |
Ledger Nano S | 79 EUR~ | 25種類 | 可 | 可 | リップル(XRP)対応、1台に4~5銘柄対応 |
KeepKey | 129 USD~ | 7種類 | 可 | 可 | 画面が大きい、簡易操作可能 |
CoolWallet S | 5,600 NTD~ | 6種類 | 不可 | 不可 | カード型ウォレット、ワンタイムパス対応 |
Digital Bitbox | 59 EUR~ | 5種類 | 不可 | 可 | MicroSDカード対応 |
Bitcoinウォレットのまとめ
今回は、Bitcoin用のウォレットの特徴や比較を行ってきました。
ウォレットには様々な種類がありますが、ご自身の資産を守る大切なものなので、しっかりと検討の上選ぶことをおすすめします。
また、ウォレットはどうしても安全性と利便性を両立することはできません。そのため、ご自身の投資スタイルに合わせて最適なウォレットを選ぶことが大切です。