仮想通貨の取引所「ビットフライー」は、6月22日に金融庁から業務改善命令が出されました。
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業務改善命令が出された原因は?
- 経営陣は、コストを抑えることを優先して、内部監査を含めた内部管理態勢を整備していない
- 監査等委員会及び取締役会が牽制機能を発揮していないこと並びに登録審査等に関して当局等へ事実と異なる説明等を行うといった企業風土
- 経営管理態勢に問題が認められた
以上の3つでした。
このほかに、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策、利用者財産の分別管理及び帳簿書類の管理、不正アクセスによる仮想通貨の不正流出の未然防止などの内部管理態勢において問題が認められました。以上の問題を解消するために下記の業務改善命令が発令されました。
金融庁の業務改善命令の内容
- 経営管理態勢の抜本的な見直し
- マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の構築
- 反社会的勢力等の排除に係る管理態勢の構築
- 利用者財産の分別管理態勢及び帳簿書類の管理態勢の構築
- 利用者保護措置に係る管理態勢の構築
- システムリスク管理態勢の構築
- 利用者情報の安全管理を図るための管理態勢の構築
- 利用者保護措置に係る管理態勢の構築
- システムリスク管理態勢の構築
- 利用者からの苦情・相談に適切に対応するための管理態勢の構築
- 仮想通貨の新規取扱等に係るリスク管理態勢の構築
- 利用者からの苦情・相談に適切に対応するための管理態勢の構築
- 仮想通貨の新規取扱等に係るリスク管理態勢の構築
- 改善内容の適切性や実効性に関し第三者機関の検証を受けること
- 業務改善計画を平成30年7月23日までに、書面で提出
- 業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに、書面で報告
かなり厳しい業務改善命令でした。
ビットフライヤーからのお詫びとお知らせ
この業務改善命令を受けて下記のお詫びとお知らせをビットフライヤーは出しました
) は、下記のとおり、金融庁より資金決済に関する法律第 63 条の 16 に基づく業務改善命 令を受けました。今回の業務改善命令により多大なるご心配とご迷惑をおかけしたお客様ならびに全ての関 係者の皆様に対し、深くお詫び申し上げます。当社におきまして、一定のお客様に対して実施が義務付けられている本人確認プロセスに 関し、運用の不備が認められました。当社では、このような事態が発生した原因調査を行い、 速やかに適正な管理体制を構築するための改善プランとして、既存のお客様に対する本人確 認状況の再点検を行うことを決定いたしました。これにより、お客様のご登録情報に万が一不備及び不足が認められた場合には、お客様の本 人確認プロセスを改めて実施させていただく必要がございます。したがいまして、一部のお
客様には本人確認書類の再提示等をお願いする場合もあり、ご不便とご迷惑をおかけするこ とを深くお詫び申し上げます。
当社は、本措置により法令遵守の徹底と健全な取引環境の構 築を図ってまいりますので、何卒ご理解とご協力のほど改めてお願い申し上げます。なお当社は、既存のお客様への本人確認状況の再点検が完了し、かつ、内部管理体制 強化が整うまでの間、新規のお客様によるアカウント作成を自主的に一時停止させて いただきます。
当社サービスのご利用を新たにご検討いただいておりましたお客様に は大変ご迷惑をおかけしますことを、謹んでお詫び申し上げます。
当社経営陣以下社員一同が、今回の業務改善命令を真摯に受け止め、このような事態が二 度と起きないよう再発防止策を策定し、改善プランを着実に実施いたします。
また全社を 挙げて、関係法令の遵守と一層の管理体制強化を徹底し、お客様の信頼回復に努めてまいります。
なお、改善プランの実施状況や新規申込受付の再開目途については、適宜、当社の ホームページにおいてお知らせするとともに、既存のお客様に対する本人確認プロセ 再実施のお願い事項については、今後、対象のお客様毎に個別にご連絡をさせていただく予定です。
本日、株式会社 bitFlyer(本社:東京都港区、代表取締役:加納 裕三、以下、「当社」) は、仮想通貨交換業に関する業務改善命令を受けたことを受け、当社代表取締役加納 がこれまで務めておりました、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会副会長及び一般 社団法人日本ブロックチェーン協会代表理事をそれぞれ自主的に辞任いたしますこと をお知らせします。
当社は、引き続き利用者の利益の保護及び仮想通貨交換業の健全な発展に寄与していく所存です。
ビットフライヤーに厳しい業務改善命令が出された背景
今年の1月に起きた「コインチェックのネム580億円不正流出事件」の原因が、仮想通貨の運営に問題があったのではなく、仮想通貨の取引所の顧客管理の方法に問題がありました。
コインチェックが、金融庁が「コールドウォレット」を使った仮想通貨の管理方法を推奨していたのにもかかわらず、インターネットに接続しまま管理する「ホットウォレット」という管理を行っていたのです。
このことを危惧した金融庁は、4月9日に登録済み取引所に立ち入り調査を行ったのです。
その結果「ビットフライヤー」「ビットポイントジャパン」「QUIINE」「ビットバンク」「BTCボックス」「テックビューロ」の6社に業務改善命令が発令されました。
ビットフライヤーは、取引所の資産と利用者の資金をはっきりと分かる形で区別する必要があるが、利用者の口座に反映されるべき資金が、会社側の口座に預けられたままになっていたという事実がありました。
また、取締役会や監査等委員会が、創業者の加納裕三社長の知人で占められていることから、代表取締役である加納氏に対する牽制機能を十分に発揮できていないとの企業体質も指摘されました。
このほかにマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策、利用者財産の分別管理及び帳簿書類の管理、不正アクセスによる仮想通貨の不正流出の未然防止などの内部管理態勢において問題がありました。
ビットフライー/bitFlyerとは?
ビットフライヤー創立者と取締役
1976 年生まれの代表取締役「加納 裕三」と1971 年生まれの取締役 CTO「小宮山 峰史」が仮想通貨交換業及びブロックチェーン開発・サービスを事業内容として、2014 年 (平成26年)1 月 9 日に共同で設立しました。この2人は、共にゴールドマン・サックス証券で働いた経歴があります。2016 年 1 月に入社し、2017 年 3 月より 取締役CFOを務めている1982 年生まれの「金光碧」もゴールドマン・サックス証券で働いた経歴があります。
ビットフライヤーの資本力
「リクルート」「電通デジタルホールディングス」「SBIグループ」「三菱UFJキャピタル」「GMOグループ」など大企業が出資により国内の取引所としては最大の資本力を持っています。
ビットフライヤーが仮想通貨取引所として行う業務の内容と規模
取り扱っている仮想通貨は「ビットコイン」「ビットコインキャッシュ」「イーサリアム」「イーサリアムクラシック」「モナコイン」「ライトコイン」「リスク」です。
創立当初は、ビットコインとイーサリアムという仮想通貨の2大銘柄だけの取扱でしたが、この銘柄の価格上昇とともに顧客を急激に増やし、現在では200万人以上の顧客がいるといわれています。
日本の他にアメリカとルクセンブルクで仮想通貨交換業者の認可を受けサンフランシスコとルクセンブルク拠点を持っています。「コインマーケットキャップ」と「コインヒルズ」のデータを基に算出した仮想通貨取引量(過去数週間のデータ)は世界の仮想通貨の取引所の中で4番目にランクされています。その資金量は具体的にどの位あるのでしょう。
仮想通貨取引所の持つ膨大な資金量
コインチェックの前社長の和田晃一良氏は社長在任中は、当面の目標をビットフライヤーとしていたようです。「和田晃一良」氏は、480億円の補償をして社長を退任したのですが、わずか3年足らずで480億円以上のお金を貯め込んでいないと、損害の補償は出来なかったはずです。ということは、3年で480億円以上の収入があったということです。2017年(平成29年)7月に設立した仮想通貨の取引所バイナンスのCEO ジャオ・チャンポ氏はフォーブスが2月7日に「世界の仮想通貨長者ランキング」で資産額は11〜20億ドル(約1195〜2170億円)と発表しました。ジャオ・チャンポ氏は、早くからビットコインに投資をしていたのですが、少なく見ても資産の半分以上は、仮想通貨の取引で形成したのではないでしょうが。「加納 裕三」氏のビットフライヤーの貯め込んだ利益は、コインチェックの和田晃一良氏の480億円は超えるでしょう。バイナンスの「ジャオ・チャンポ」氏の1,175億円~2,170億円は超えないでしょう。少なく見ても7~800億円の利益を上げていたと推測することができます。
仮想通貨取引所 bitFlyerがSFD制度を導入
このような巨額な利益を上げているにもかかわらず、相場を安定させようとして2月6日に導入したSFD制度が、逆に相場に波乱を巻き起こす結果となってしまいました。このSFD制度を導入したことを、ビットフライヤーの顧客の中には快く思わない方が多数いるようです。金融庁の今回の立ち入り調査の結果に、この声が反映された結果とも受け取れます。
正念場を迎えたビットフライヤー
短期間で順調に業績を伸ばし、規模も大きくしてきた「ビットフライヤー」ですが、今回、金融庁に突きつけられた業務改善命令をクリア出来るでしょうか。急成長の企業なので、証券会社や銀行とは違い企業としての組織の基盤が弱いことは否めない事実です。業務改善計画を平成30年7月23日までに、書面で提出して、業務改善計画の実施完了までの間、1ヶ月毎の進捗・実施状況を翌月10日までに、書面で報告する義務が課せられました。短期間で巨額の利益を上げ急成長した「ビットフライヤー」に企業として底力は、あるのでしょうか。